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「プロの翻訳家・同時通訳になりたい」というお問い合わせを受けて


「プロの翻訳家・同時通訳になりたい」というお問い合わせを受けて

「プロの翻訳家になりたいです」「同時通訳になりたいです」という方からお問い合わせを頂くことがあります。翻訳や通訳は、著名な本を自身の言語創造力を生かして翻訳したり、国際会議で要人の隣でプロに徹する、という一見華々しい仕事ですが、私たちは「ご家庭、ご家族が非常に裕福である方」を除いておすすめしていません。これについて触れてみたいと思います。
 
まず結論から申し上げると、「翻訳や通訳は思ったほど、給料がよくない仕事」なのです。プロの翻訳、通訳として活躍するためにはかなりのスキルが必要ですが、そのスキルを得るために投下した時間と給料が見合わないということです。
 
具体的なお金の話で恐縮ですが、翻訳や通訳で年収が1,000万円を超えている方は非常に少ないと思われます。それには、以下のような環境の変化があります。
 

1.クラウドソーシングによる競争激化(国内)

特に翻訳の分野で顕著です。例えば、業務で翻訳の必要性がでると、最近では、インターネットで様々な仕事を発注できる「クラウドソーシング」サイトを利用するケースが多いです。クラウドソーシングサイトでは、「イラストを描いてほしい」「Webサイトを作ってほしい」「写真撮影をお願いしたい」など様々な仕事がありますが、「翻訳」は非常に多く依頼のあるカテゴリです。
 
非常に多く依頼があるカテゴリには、非常に多くの仕事を請ける人がおり、翻訳単価はとにかく安くなります。多くの発注者は、「それなりの品質で、価格が非常に安い」翻訳を好みます。クラウドソーシングサイトで、一生懸命いい翻訳をしても、単価が上がることはそれほど多くありません。
 
また、クラウドソーシングによって、昼間はサラリーマンとして働いて、夜にアマチュア翻訳家として仕事をする、という人も増えました。こうした人は、自分の趣味で翻訳をしているので、単価が低くてもあまり気にしません。こうした人の流入は、単価のさらなる低下に拍車をかけています。
 

2.クラウドソーシングによる競争の激化(海外)

日本に留学して日本語を勉強してから、母国に帰って仕事をしている、という人はたくさんいます。こうした人は、母国に帰って日本と関係する仕事をしていることもあれば、何も関係ない仕事をしていることもあります。
 
しかし、日本より人件費が低い国の人だと、日本のクラウドソーシングで翻訳仕事をする副業の方が、昼間の仕事より儲かったりもします。よって、こうした人材が案件を求めてクラウドソーシングに入ってきています。
 
当サイトでも試しに、フィリピン在住の日本語が堪能な方に翻訳を依頼してそのクオリティを確認したことがありますが、私たちからみても「まったく問題なく、きれいな翻訳」であり、日本の大手翻訳会社に依頼する場合と比較して、翻訳費用はざっと1/5以下程度でした。
 

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3.翻訳会社の給料はさほど高くない

日本には大手の翻訳会社が多数あり、大手企業の案件を継続的に受注しています。こうした会社に正社員として入社して翻訳を仕事として行うことももちろん可能です。
 
しかし、求められるスキルとクオリティに比べて、給料は安いというのが、翻訳企業に勤める知人から話を聞いて思った実感です。長く勤めていても給料はそれほどあがりませんし、会社の売上や利益も横ばいか下がっているところが多いでしょう。クラウドソーシング、翻訳ソフトや翻訳サイトが影響しているようです。
 

4.インハウス翻訳者も給料が安い、しかも非正規雇用がほとんど

外資系の会社で、社内で翻訳専門の人材を抱えておきたい、ということで、採用があることがあります(こうした、「翻訳専門の会社ではない会社で働く翻訳者」を、インハウス翻訳者と言います)。
 
しかし、こちらは正社員であるケースはほとんどなく、契約社員か派遣社員になります。私が以前働いていた大手の外資系企業でも、一時大量の翻訳ニーズがあり、私の部下として翻訳専門の人材を抱えていたこともありました。
 
ですが、部署の部門カットで真っ先にリストラされたのは、この翻訳専門の人材でした。残念ながら、契約を更新しない、という形で去っていただきました。
 

5.良い案件は大御所が押さえている

もちろん、世の中には「非常に高いクオリティで、価格が高い」翻訳が求められる案件もあります。大手企業など、予算が潤沢な会社の仕事です。
 
しかし、こうした仕事は、すでに大御所の翻訳家が押さえていたり、大手翻訳会社が押さえていることが少なくありません。大手の翻訳会社に入っていい翻訳をしたとしても、給料が急上昇するわけではないのです。
 
そうした単価の高い案件を取ろうとすると、よほどのコネがないとまず無理なので、諦めたほうが良いと思われます。
 
さて、いかがでしたでしょうか。夢も希望もない話だと思われたかもしれませんが、英語そのものを仕事にするのではなく、「英語プラスワン」でキャリアを多様化することをおすすめします。

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